千葉の中小企業がデジタル人材を社内で育てる判断基準
チラシを1枚作るのに外注して、2週間待って、修正のやりとりでさらに1週間。年に何度もこれを繰り返している——千葉県内の中小企業や自治体で、実際によく聞く話です。
この記事は、社内にデザインやWebを扱える人を育てるかどうかで迷っている方に向けたものです。育てたほうがいい業務と、外注し続けたほうがいい業務は、はっきり分かれます。その線引きから書きます。
内製化が話題になる前に、まず量を数える
「社内で作れるようにしたい」という相談をいただいたとき、最初にうかがうのは年間の制作量です。ここが曖昧なまま人を育て始めると、たいてい続きません。
数えていただきたいのは次の3つです。
- 年間の制作点数。チラシ、SNS投稿画像、社内資料、採用ページの更新など、外に出しているものと社内で我流で作っているものの両方を数えます
- 1件あたりの往復回数。依頼してから完成までに何回やりとりがあるか。ここが多い業務ほど、内製化の効果が出ます
- 差し替えの頻度。価格、日付、担当者名だけを変えて出し直すものがどれくらいあるか
3つめが多い会社ほど、内製化の効果は大きくなります。差し替えは、作る力より「元データを触れる人が社内にいるか」の問題だからです。
内製に向く業務、外注に向く業務
| 業務 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| SNS投稿画像、社内掲示、簡単なチラシ | 内製に向く | 頻度が高く、スピードが価値になる |
| 既存物の差し替え・更新 | 内製に向く | ゼロから作る必要がなく、外注すると往復が無駄になる |
| Webサイトの記事追加・写真差し替え | 内製に向く | 更新が止まるとサイト全体の効果が落ちる |
| ロゴ、ブランドの基本設計 | 外注に向く | 長く使うものは、専門家の判断に投資する価値がある |
| サイトの新規構築・大規模改修 | 外注に向く | 設計と実装の総量が大きく、社内学習で賄う範囲を超える |
| 撮影、映像の本格的な制作 | 状況による | 機材と技術の投資判断が別途必要 |
整理すると、「頻度が高く、判断より手数が要る業務」は内製、「頻度は低いが、判断を間違えると長く響く業務」は外注。この線引きが、いちばん失敗が少ないと考えています。
内製化がうまくいかない典型的なパターン
実際にご相談を受けるなかで、次のパターンが繰り返し出てきます。
一人だけに任せてしまう。その方が異動や退職をすると、作れる人がゼロに戻ります。加えて、一人だと相談相手がいないため、我流のまま止まりやすい。最低2名で始めることをおすすめしています。
ツールだけ導入して終わる。デザインツールの契約はしたものの、誰も使わないまま更新月を迎える。ツールは、作る順序を知っている人がいて初めて機能します。
本業の合間に、という前提で始める。学習時間を業務として確保しない限り、繁忙期に必ず止まります。週に何時間を充てるかを最初に決めるかどうかで、結果がかなり変わります。
作ったものを誰も見ない。社内に「これでいいか」を判断する人がいないと、質が上がりません。育成期間中は、外部に添削してもらう仕組みを併用したほうが早く伸びます。
内製化しないほうがいい会社
正直に書きます。次に当てはまる場合は、内製化を急がないほうがいいと考えています。
- 年間の制作点数が10件に満たない。外注費より、育成にかかる時間のほうが高くつきます
- 制作物が毎回まったく違う。型が作れないので、社内に蓄積しません
- 担当できる人が1名しか確保できない。その方が抜けた時点で振り出しに戻ります
- 学習時間を業務として確保できない。これは一番多い失敗要因です
この場合は、信頼できる制作会社を1社決めて、そこに継続して依頼するほうが総コストは下がります。当校にご相談いただいても、この結論をお伝えすることがあります。
誰を担当者にするか
内製化の成否は、ツールでもコースでもなく、誰に任せるかでほぼ決まります。ご相談を受けるときに、次の観点でお話ししています。
- 現場の事情を知っている人。デザインは後から学べますが、自社の商品や利用者の事情は外から学べません。営業や現場を経験した方のほうが、結果的に伝わるものを作ります
- 文章を書くことに抵抗がない人。チラシもWebも、実務の大半は文言の調整です。レイアウトより先に、何を書くかで質が決まります
- 締切を守る習慣がある人。制作は締切のある仕事です。ここが崩れると、内製化したことで社内の期日が守られなくなります
逆に、「パソコンが得意そうだから」という理由だけで選ぶと、うまくいかないことが多いです。ソフトの操作は覚えられますが、上の3つは学習では埋めにくいためです。
最初の3ヶ月で目指す状態
育成を始めるときは、ゴールを「作れるようになる」に置かないことをおすすめしています。範囲が広すぎて、達成できたかどうかが判断できないためです。代わりに、次のような状態を最初の目標に置きます。
- 既存の制作物のデータを開いて、文字と写真を差し替えて出力できる
- SNS投稿画像を、決まった型に沿って自分で作れる
- 外注する際、こちらから目的・掲載内容・締切・想定サイズを揃えて渡せる
3つめは見落とされがちですが、効果が大きい項目です。依頼の質が上がると、外注案件の往復回数が減ります。内製化の本当の効果は、社内で全部作れるようになることではなく、外注と社内の役割分担が整理されることにあります。
千葉の自治体・企業と一緒に作ってきたもの
デジタルハリウッドSTUDIO千葉を運営しているのは、lanitech合同会社です。スクール運営と並行して、千葉県内の自治体・企業の制作案件を受講生とともに進めてきました。
- 千葉都市モノレール株式会社|公式Webサイト「空中さんぽマップ」(2025年10月公開)
- 千葉県警察|チラシ、多言語対応の案内板、啓発アニメーション、ショート動画(2024年〜継続)
- 千葉県香取市|名刺デザイン(約2ヶ月)
- 千葉県長南町|地域情報サイト(約4ヶ月)
- 茨城県河内町|観光冊子、看板、チラシ、ビール/日本酒のラベル(年間継続)
- 株式会社アドアシステム|コーポレートサイト(5〜6ヶ月)
- みつぼし醤油|レシピリーフレット(1〜2ヶ月)
この一覧を見ていただくと分かるとおり、名刺やリーフレットのような「頻度が高く、社内でも作れるようになると効く」ものと、サイト構築のような「専門的に任せたほうがいい」ものが混在しています。実際の現場で、この線引きを何度も引いてきました。一覧は制作実績にまとめています。
社内で人を育てる場合の進め方
デジタルハリウッドSTUDIO千葉は、JR千葉駅東口から徒歩5分、千葉中央駅東口から徒歩2分にあります。社員の方が働きながら通う前提で、基礎は映像教材で学び、教室またはオンラインで現役クリエイターの添削を受ける形を取っています。通学回数に制限はありません。
自社サイトを運用する担当者を育てたい場合は、Webデザイナー専攻に、卒業制作を除いた「Web担当者プラン」(6ヶ月・528,000円税込)があります。デザインから運用までひととおり学ぶ場合は同専攻の本科(6ヶ月・572,000円税込)、印刷物やSNS画像を中心に作れるようになりたい場合はグラフィックデザイン講座(4ヶ月・319,000円税込)、動画であれば動画クリエイター専攻(4ヶ月・445,500円税込)があります。
受講料は、給付金で最大80%が戻る場合があります
デジタルハリウッドの一部の講座は、経済産業省の「第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)」に認定されています。支給要件を満たして所定の手続きをし、講座を修了すると、厚生労働省の専門実践教育訓練給付金として教育訓練経費の最大80%(上限640,000円)が支給されます。
| 対象コース | 定価(税込) | 実質料金(最大80%の給付を受けた場合) |
|---|---|---|
| Webデザイナー専攻 | 572,000円 | 220,000円 |
| Webデザイナー専攻 主婦・ママクラス キャリアデザインプログラム | 423,500円 | 190,300円 |
| 動画クリエイター専攻 | 445,500円 | 181,500円 |
| グラフィックデザイン講座 | 319,000円 | 143,000円 |
⚠ 動画ディレクター専攻と Claude Code × Designer Bootcamp は、この制度の対象ではありません。給付の対象になるのは入学金と授業料で、設備・教材費やソフトウェアの購入費は含まれません。また、雇用保険の被保険者である(あった)ことなどの支給要件があり、受講開始の2週間前までにハローワークでの手続きが必要です。ご自身が対象になるかは、住民票のある地域を管轄するハローワークで必ず確認してください。対象講座・支給要件・申請の流れはReスキル講座と給付金のページにまとめています。
法人・自治体向けには、Canvaを使った社内向けの研修や、生成AI活用のご相談窓口も用意しています。研修費用に使える公的な支援制度がある場合もありますが、対象や要件は年度や事業内容によって変わります。適用できるかどうかは個別にご確認ください。
まず、線引きの相談からで構いません
「うちは育てたほうがいいのか、外注のままがいいのか」。この判断だけでも、一度整理するとその後の意思決定が楽になります。年間の制作点数と内容をお持ちいただければ、一緒に見立てます。
無料説明会・個別相談は参加費無料・所要1.5〜2時間・来校またはオンライン・持ち物不要です。時間が取りにくい場合は30分のカジュアル説明会もあり、予約フォームのコメント欄に「カジュアル説明会希望」とご記入ください。お電話でのご相談は043-400-3547で承っています。
