働きながらグラフィックデザインを学ぶ|千葉の卒業生インタビュー
働きながらデザインを学ぶとき、いちばん難しいのは技術ではありません。計画したとおりに進まないことです。平日は仕事、帰宅後に講義動画、週末に課題——そう決めて始めても、実際には残業が入り、疲れて動画が止まり、週末に予定が入る。気づけば数週間が飛んでいる。
デジタルハリウッドSTUDIO千葉のグラフィックデザイン講座を修了したOさんも、まさにその状態を通り抜けた方です。新卒で都内のホテルに3年勤務し、転職して現在は大学事務。フルタイムで働きながら受講し、校舎に行けたのは月に2〜3回。本人は「目標は立てたけど中々実行するのが難しく」と正直に振り返っています。
それでも、卒業月のぎりぎりまで添削とアドバイスを受けながら、課題を終わらせました。この記事では、Oさんがどう時間を作り、どこで崩れ、何に助けられて走りきったのかをたどります。あわせて、働きながら学ぶ場合に現実的な計画をどう立てるか、Webとグラフィックのどちらを選ぶかという分かれ道についても整理します。
ホテル3年、そして大学事務へ。働きながら学ぶという前提
Oさんの経歴はこうです。
「新卒で都内のホテルに入社し3年勤務、昨年転職し今は大学事務をしています」
ホテルから大学事務へ。すでに一度、環境を変えた経験がある方です。そして今回は、仕事を変えるのではなく、仕事を続けたままスキルを足すという選び方をしました。
スクール探しの条件も、そこから決まっています。
「グラフィックデザインが学べて、働きながらでも通えるスクールをネットで探していて見つけました」
条件が2つ、はっきり並んでいます。グラフィックデザインが学べることと、働きながら通えること。ここが最初から決まっていたのは、後から振り返ると効いています。「とりあえずWebデザインを学んでおけば潰しが利く」という選び方をしなかった。
働きながら学ぶ前提でスクールを選ぶとき、確認したい点は次のようなところです。
- 受講期間に余裕があるか(決められた期間内に終わらなかったらどうなるか)
- 校舎に行けない週があっても進められる形になっているか
- 平日の夜、実際に相談できる相手が校舎にいるか
- 通学時間が片道どれくらいか
この4点目は軽視されがちですが、働きながらの場合はいちばん効きます。仕事のあとに片道1時間かけて校舎に行くのは、最初の1ヶ月はできても、3ヶ月目には難しくなります。
WebとグラフィックのあいだでOさんが選んだもの
Oさんは、実は入学直前まで迷っていました。
「私はグラフィックデザインコースでした。入学前までweb +グラフィックコースも迷っていたのですが、お金と時間の関係もあり、グラフィックデザインを受講しました」
この判断は、とても現実的だと思います。両方学べるコースは魅力的に見えますが、そのぶん受講期間も費用も増えます。働きながらであれば、期間が延びることは単純に脱落リスクの上昇を意味します。
Oさんが選んだグラフィックデザイン講座は4ヶ月・319,000円(税込/入学金33,000円・受講料187,000円・設備/教材費99,000円)。一方のWebデザイナー専攻は6ヶ月・572,000円(税込/入学金55,000円・受講料385,000円・設備/教材費132,000円)です。期間で2ヶ月、金額で25万円以上の差があります。
「やりたいことに近いほうを、確実に終えられる規模で取る」。Oさんの選び方は、そういうものでした。
「このままやらなかったら後悔する」——映画のフライヤーへの興味
ではなぜグラフィックだったのか。理由は仕事とは無関係な、個人的なところにありました。
「可愛い画像をコラージュをするのが好きだったのと、今までずっと映画のフライヤー制作に興味があったのでこのままやらなかったら後悔するかなと思い学ぼうと思いました」
「このままやらなかったら後悔する」。この一行が、Oさんの動機の全部だと思います。転職のためでも、収入のためでもない。ずっと気になっていたものに、手を出さないまま年を重ねるのが嫌だった。
そして、この動機の持ち方は、実は継続の面でも有利に働きます。「転職のために学ぶ」という動機は、転職市場の状況やまわりの言葉に揺さぶられます。「やらなかったら後悔する」は、外の状況では揺れません。
映画宣伝やフライヤー制作という具体的な行き先があったことも、コース選びを迷わせませんでした。フライヤーやポスターは印刷物であり、Webではなくグラフィックの領域です。目的から逆算すれば、選ぶべきコースは自然に決まります。
通勤中に講義動画、週末に課題。そして計画は崩れた
Oさんが立てた計画は、シンプルなものでした。
「平日仕事終わりや通勤中に講義動画を見て週末に課題を終わらす事を目標にしていました」
平日はインプット、週末はアウトプット。働きながら学ぶ人の多くが立てる、標準的で理にかなった計画です。
校舎に行く頻度についても、正直に語っています。
「スタジオに行けたのは月に2.3回程です」
4ヶ月で、およそ10回前後。決して多くはありません。そして、計画そのものについてはこう振り返っています。
「目標は立てたけど中々実行するのが難しく卒業する月にほんとにギリギリまで添削やアドバイスをいただき課題を終わらせる事ができました」
ここを、そのまま載せておきたいと思いました。スクールのサイトに載る卒業生の話は、たいてい「計画的に進めて予定どおり修了しました」という形に整えられます。実際には、そうならない人のほうが多い。
Oさんは、計画どおりには進みませんでした。それでも終わりました。この差がどこにあったかというと、最後まで見てくれる相手がいたことです。「卒業する月にほんとにギリギリまで添削やアドバイスをいただき」という一行が、それを示しています。
独学で同じ状況になると、たいていそこで止まります。締切がなく、見てくれる人もいないので、「そのうちやろう」に変わってしまう。
平日夜の校舎が落ち着く時間を狙う、という使い方
月に2〜3回しか行けないなら、その1回の質を上げるしかありません。Oさんは、行く時間帯を選んでいました。
「平日の夜はstudioが落ち着いてる時間を狙って先生に相談しに行きました。ほぼマンツーマンで相談に乗ってくださり勉強になりますし本当にありがたいなと思います」
これは、通学型のスクールをいちばん効率よく使う方法だと思います。混んでいる時間帯に行けば、先生の時間は他の受講生と分け合うことになります。落ち着いている時間帯を狙えば、実質的にマンツーマンになる。
月2〜3回でも、毎回1時間近くマンツーマンで見てもらえるなら、4ヶ月で10時間以上の個別指導を受けている計算になります。これは、行く回数を増やすより効果があるかもしれません。
相談の中身も、課題の添削だけではありませんでした。
「実際に現場で働いている先生方からお話を聞くことができ、課題の添削もしていただけるのでとても勉強になりました。こういうデザインがしたい、こういう職に興味があると相談すると、親身になって話を聞いてくれる先生やスタッフの方ばかりで、自分のやりたい事に少しでも近づいた気がして入学して良かったなと思います」
「こういう職に興味がある」という話ができる相手がいたこと。映画宣伝やフライヤー制作という、けっして一般的とは言えない行き先について相談できたこと。ここは、教材だけでは代替できない部分です。
STUDIO千葉には約40名のサポートスタッフがおり、現役で制作の現場に立っている方も含まれます。どんな経歴の人がいるかは講師・スタッフの一覧で確認できます。
4ヶ月で作ったもの——名刺、ロゴ、ポスター
受講中に制作したものについては、簡潔な答えが返ってきました。
「名刺、ロゴ、展覧会、フリーマーケットのポスター制作など」
短い一行ですが、グラフィックデザインの基礎としては要点を押さえた組み合わせです。
名刺は、限られたサイズに決まった情報を入れながら、その人らしさを出す訓練になります。余白と文字組みの精度がそのまま出るので、ごまかしが効きません。
ロゴは、削る訓練です。要素を足せば足すほど弱くなる。何を捨てるかを決める作業になります。
展覧会のポスターは、雰囲気を作る訓練です。情報量より、伝わる空気のほうが重視されます。
フリーマーケットのポスターは逆で、日時・場所・内容といった情報を、遠くからでも読める形で整理する訓練になります。
この4つは、それぞれ求められるものが違います。同じ「デザイン」でも、目的が変われば正解が変わるということを、手を動かしながら理解していく構成です。
そして、映画のフライヤーを作りたいというOさんにとって、展覧会のポスターとフリーマーケットのポスターの両方を経験しているのは意味があります。映画のフライヤーは、その両方を同時に求められるものだからです。作品の世界観を伝えながら、公開日・劇場・キャストといった情報も確実に届けなければならない。
転職は焦らず決めたい——卒業後の進み方
卒業後について、Oさんは現実的な見通しを語っています。
「将来は映画宣伝、フライヤー制作に携わりたいと考えています。卒業後すぐに就職できるかは分からないのですがせっかく学んだ事を忘れないように、でも転職は焦らず決めたいと思っています」
「すぐに就職できるかは分からない」と書けるのは、状況を正確に見ている証拠だと思います。映画宣伝の領域は求人数が多い分野ではありません。4ヶ月学んですぐに未経験で入れる、という性質のものでもない。
そのうえでOさんが選んでいるのは、「今の仕事を続けながら、学んだことを忘れないようにする」という進み方です。これは消極的な選択に見えて、実はかなり合理的です。
収入を止めずに、時間をかけて機会を待つ。その間に手を動かし続けて作品を増やす。焦って条件の合わない職場に入って、デザインそのものが嫌になってしまうより、ずっと折れにくい。
そして、これから学ぼうか迷っている方へのメッセージは、ひとことでした。
「迷ってるならやってみることをお勧めします!」
Webとグラフィック、どちらを選ぶか
Oさんが迷ったこの分かれ道は、説明会でもよく相談を受けるところです。判断材料を整理しておきます。
| 比較軸 | グラフィックデザイン講座 | Webデザイナー専攻 |
|---|---|---|
| 受講期間 | 4ヶ月 | 6ヶ月 |
| 受講料(税込) | 319,000円 | 572,000円 |
| 主に作るもの | 名刺・ロゴ・ポスター・フライヤー・パンフレット | Webサイト・バナー・LP |
| 扱う主なツール | Illustrator・Photoshop | Illustrator・Photoshop+HTML/CSS・WordPress |
| コーディング | なし | あり |
| 向いている目的 | 印刷物を作りたい/今の仕事で使いたい | Web制作の仕事に就きたい/在宅で受注したい |
| 働きながらの負荷 | 比較的軽い | コーディング分の負荷が加わる |
受講料は、給付金で最大80%が戻る場合があります
デジタルハリウッドの一部の講座は、経済産業省の「第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)」に認定されています。支給要件を満たして所定の手続きをし、講座を修了すると、厚生労働省の専門実践教育訓練給付金として教育訓練経費の最大80%(上限640,000円)が支給されます。
| 対象コース | 定価(税込) | 実質料金(最大80%の給付を受けた場合) |
|---|---|---|
| Webデザイナー専攻 | 572,000円 | 220,000円 |
| Webデザイナー専攻 主婦・ママクラス キャリアデザインプログラム | 423,500円 | 190,300円 |
| 動画クリエイター専攻 | 445,500円 | 181,500円 |
| グラフィックデザイン講座 | 319,000円 | 143,000円 |
⚠ 動画ディレクター専攻と Claude Code × Designer Bootcamp は、この制度の対象ではありません。給付の対象になるのは入学金と授業料で、設備・教材費やソフトウェアの購入費は含まれません。また、雇用保険の被保険者である(あった)ことなどの支給要件があり、受講開始の2週間前までにハローワークでの手続きが必要です。ご自身が対象になるかは、住民票のある地域を管轄するハローワークで必ず確認してください。対象講座・支給要件・申請の流れはReスキル講座と給付金のページにまとめています。
選び方の目安を書いておきます。
作りたいものが印刷物なら、グラフィック。 フライヤー、ポスター、名刺、パンフレット、店頭のPOP。これらが目的なら、Webの学習は遠回りになります。Oさんが映画のフライヤーを目指してグラフィックを選んだのは、目的から逆算した結果です。
仕事にすることが目的で、求人の数を重視するなら、Web。 未経験可の求人数という点では、印刷系よりWeb系のほうが多いのが実情です。在宅での受注も、Webのほうが入口が広い。
今の仕事の中で使いたいなら、グラフィックから。 社内報、チラシ、資料、SNS用の画像。多くの職場で「作れる人がいなくて困っている」のは、Webサイトより先に、こうした日常の印刷物やSNS素材です。
迷って決められないなら、期間の短いほうから。 これは実務的な話です。4ヶ月のグラフィックを終えてからWebに進むことはできますが、6ヶ月のコースを途中で止めることはできません。働きながらで時間の読みに自信がないなら、確実に終えられる規模を取るほうが安全です。実際、グラフィックデザイン講座を修了してからWebデザイナー専攻に進む方もいます。
働きながら4ヶ月で修了するための、現実的な設計
Oさんが「目標は立てたけど中々実行するのが難しく」と振り返ったことを踏まえて、働きながら学ぶ場合の計画の立て方を整理します。
1. 週の学習時間を、実際のカレンダーで数える。 「毎日1時間」ではなく、来週の予定を見て、実際に空いている枠を数えます。ここが週8時間を下回るようなら、4ヶ月の想定を6ヶ月に伸ばす前提で計画したほうがいい。STUDIO千葉では受講期間を最大1年間まで取れます。
2. 通勤時間を「インプット専用」と決める。 Oさんは通勤中に講義動画を見ていました。移動時間は手が使えないぶん、動画の視聴には向いています。逆に、通勤中に課題を進めようとしても進みません。時間帯ごとに役割を固定すると、迷う時間が減ります。
3. 校舎に行く日を、月の初めに予約する。 「時間ができたら行く」は、まず行かないままになります。月に2回でいいので、先に日付を決めておく。Oさんのように平日夜の落ち着いた時間帯を狙えば、ほぼマンツーマンで見てもらえます。
4. 崩れることを計画に織り込む。 4ヶ月のあいだに、忙しい週は必ず来ます。「1週間まるごと進まない週が月に1回ある」前提で組んでおけば、崩れたときに立て直せます。逆に、全週フル稼働の計画は、1回崩れた時点で追いつけなくなります。
5. 詰まったら、作業ではなく相談に行く。 これがいちばん重要かもしれません。手が止まっているときに一人で粘っても、ほとんど進みません。Oさんが最後まで走りきれたのは、卒業月のぎりぎりまで添削とアドバイスを受け続けたからです。
デジタルハリウッドSTUDIO千葉で学ぶ場合
主なコースは次のとおりです(すべて税込・2026年8月時点)。
| コース | 受講期間 | 受講料 | 内訳 |
|---|---|---|---|
| グラフィックデザイン講座 | 4ヶ月 | 319,000円 | 入学金33,000円/受講料187,000円/設備・教材費99,000円 |
| Webデザイナー専攻 | 6ヶ月 | 572,000円 | 入学金55,000円/受講料385,000円/設備・教材費132,000円 |
| 動画クリエイター専攻 | 4ヶ月 | 445,500円 | 入学金55,000円/受講料275,000円/設備・教材費115,500円 |
支払いは一括(銀行振込)または分割(学費ローン)から選べます。給付金・支援制度については、Reスキル講座(第四次産業革命スキル習得講座)と経済産業省リスキリング支援事業の対象講座がありますが、対象コースは講座によって異なり、支給率や要件も変わります。条件を満たすと受講料の一部が支給される仕組みですので、適用条件は個別カウンセリングでご確認ください。
働きながら学ぶ方に関係する点をまとめておきます。
- 校舎はJR千葉駅東口から徒歩5分、千葉中央駅東口から徒歩2分。仕事帰りに寄れる立地
- 受講期間は最大1年間。4ヶ月で終わらなくても続けられる
- 教室通学とオンラインの併用が可能。行けない週も止まらない
- チャットでの質問が可能
- 約40名のサポートスタッフによるマンツーマン対応
ほかの卒業生がどう進んだかは、卒業生インタビューの一覧からご覧いただけます。受講生が関わった千葉県内の実案件はクライアントワークの一覧にまとめています。
STUDIO千葉を選ばなくていい人
正直なところも書いておきます。
1. 費用を最優先で抑えたい方。 グラフィックデザイン講座は319,000円です。Illustratorの操作を覚えたいだけなら、書籍やオンライン教材のほうがはるかに安く済みます。「操作を覚える」ことが目的なら、そちらを検討したほうが合理的です。
2. 短期で確実に転職したい方。 就職・転職のサポートは行っていますが、期限を切って結果をお約束する仕組みではありません。とくに映画宣伝や出版といった領域は、求人数そのものが限られます。Oさんが「転職は焦らず決めたい」と言っているのは、その現実を踏まえた判断です。
3. 校舎に一度も来ない前提の方。 Oさんは月2〜3回しか来ていませんが、その2〜3回で走りきりました。ゼロにすると、独学とほとんど変わらなくなります。完全オンラインで済ませたいなら、はじめからオンライン専業のサービスのほうが設計が合っています。
4. 千葉駅までの通学が片道1時間を大きく超える方。 働きながらの場合、これは致命的になりやすい条件です。より近い校舎を検討する価値があります。
逆に、千葉市・幕張・津田沼・船橋・市原・木更津・成田・茂原あたりから通える方で、仕事を続けたまま印刷物のデザインを学びたいと考えているなら、STUDIO千葉は選択肢に入ると思います。
無料説明会では、実際の授業を体験していただき、施設をご案内したうえで、1対1でコースを解説します。所要1.5〜2時間、来校でもオンラインでも受けられ、持ち物は不要です。仕事帰りに長時間は難しいという方は、予約フォームのコメント欄に「カジュアル説明会希望」と記入いただければ30分のカジュアル説明会も用意しています。WebとグラフィックのどちらがいいかというOさんと同じ迷いも、その場で一緒に考えます。
ホテル・大学事務という前職は、デザインでどう活きるか
異業種から学びに来る方が気にするのが、「これまでの仕事は無駄になるのか」という点です。Oさんの場合は、新卒で入った都内のホテルでの3年間と、現在の大学事務です。
ホテルの仕事で身につくものを考えてみます。目の前の相手が何に困っているかを、言われる前に察すること。相手によって伝え方を変えること。決まった品質を、毎日ぶれずに出すこと。そして、細部の乱れが全体の印象を壊すことを、体で理解していること。
最後の一点は、そのままデザインの話です。タオルの畳み方が揃っていない部屋は、どれだけ広くても安く見えます。同じように、文字の位置がわずかにずれているチラシは、内容がどれだけよくても雑に見えます。ホテルで働いた人は、この感覚をすでに持っています。
大学事務についても同じことが言えます。学生や教員に向けた掲示物、案内文、申請書類。「読む人が迷わないように情報を並べる」作業は、日常的に発生しています。そこにデザインの技術が入ると、作れるものの質が変わります。
実際、Oさんが在学中に作った名刺・ロゴ・ポスターは、いずれも職場でそのまま応用が効く種類のものです。転職しなくても、明日から使える。
ここは、働きながら学ぶことの見落とされがちな利点だと思います。仕事を辞めて学ぶ人は、学んだことを試す場所が卒業まで課題の中しかありません。働きながらの人は、職場という実践の場を持ったまま学べます。作ったものに反応が返ってくるので、上達も早い。
Oさんは「こういうデザインがしたい、こういう職に興味があると相談すると、親身になって話を聞いてくれる先生やスタッフの方ばかりで、自分のやりたい事に少しでも近づいた気がして」と語っていました。前職の文脈を持ったまま「やりたいこと」を相談できる相手がいると、進む方向が絞りやすくなります。
4ヶ月で作った作品を、そのあとどうつなげるか
Oさんは「せっかく学んだ事を忘れないように」と言っています。修了後にいちばん多い失敗が、まさにここです。学び終えた瞬間に、手を動かす理由がなくなってしまう。
課題という締切がなくなり、見てくれる先生もいなくなる。その状態で3ヶ月が経つと、ツールの操作から思い出さないと動けなくなります。半年経つと、履歴書に書ける状態ではなくなってしまう。
これを防ぐ方法は、そう多くありません。現実的に効くのは次のあたりです。
1. 自分に締切を作る。 何でもかまいません。地域のイベントのチラシを勝手に作り直してみる、好きな映画の架空のフライヤーを月に1枚作る、身近な店のショップカードを提案してみる。「いつまでに1枚」という形にしておくと、手が止まりません。
2. 職場で使える場面を探す。 前の節でも触れましたが、これがいちばん続きます。実際に使われるものには締切があり、反応もあります。
3. 作ったものを、人が見られる場所に置く。 Oさんは現時点で公開しているSNSやポートフォリオはありませんが、映画宣伝やフライヤー制作を目指すのであれば、作品が見られる状態にしておくことは、いずれ必要になります。求人が出たときに「今から作ります」では間に合いません。
4. つながりを切らさない。 修了しても、学んだ場所との関係が完全に切れるわけではありません。STUDIO千葉では卒業生が関わる機会もあります。相談できる相手がいる状態を保っておくのは、独学に戻らないための保険になります。
Oさんの「転職は焦らず決めたい」という判断は、この4つを続けられる限り、正しい判断だと思います。時間をかけること自体は問題ではありません。問題になるのは、時間をかけているあいだに手が止まることのほうです。
「迷ってるならやってみる」の前に、確認しておきたいこと
Oさんからのメッセージは「迷ってるならやってみることをお勧めします!」でした。この言葉には同意しますが、そのままでは無責任になるので、踏み出す前に確認しておくといいことを補足しておきます。
作りたいものが1つあるか。 Oさんには「映画のフライヤー」がありました。これがあると、コース選びで迷いません。まだない場合は、まず「印刷物か、Webか」だけでも決めておくと、選択肢が半分になります。
4ヶ月または6ヶ月のあいだ、生活が大きく変わる予定がないか。 引っ越し、異動、家族の状況の変化。分かっている予定は先に織り込んでおきます。予定が読めない時期なら、受講期間に余裕のある形を選んでおくほうが安全です。
費用の出し方を決めてあるか。 一括で払うのか、分割にするのか。給付金や支援制度が使えるかどうかは、コースと個人の条件の両方で変わります。ここは事前に確認しておいたほうが、あとで想定と違うということが起きません。
「終わらなかったとき」の想定があるか。 Oさんは卒業月ぎりぎりでした。多くの人がそうなります。期間内に終わらなかったらどうなるのかを、申し込む前に確認しておくと、後半で焦らずに済みます。
この4つが確認できていれば、あとは踏み出すだけだと思います。Oさんが言うとおり、迷っている時間そのものには何も生まれません。
