グラフィック
茨城県河内町様|職員名刺と優良技術者表彰のロゴ
河内町様との関係は、この名刺コンテストから始まりました。「地域を彩る、名刺デザインコンテスト」の第二弾です。ここからクリエイティビティを通じた地域活性化と「ひとづくり」に関する包括連携協定の締結につながり、現在の年間伴走に発展しています。
翌年には、町の優良技術者表彰のロゴも制作しました。このページでは、その2件をヒアリングから納品まで順に追います。
1|現地に行って、町ごと体験してから作る
このコンペには現地ヒアリング会と町内ツアーが付いていました。参加者はスタッフを含めて30名ほど。
まず河内町役場の会議室で、職員の方から「どんな名刺を求めているか」「河内町の魅力は何か」を伺います。そのあと、町のそば屋「長竿亭」で職員の方と一緒に昼食をとりながら、さらに話を聞きました。
午後は車で町内を回っています。


- 大利根飛行場(モーターグライダークラブ)
- 愛宕神社 — 田んぼの間にぽつんと現れる、木々に囲まれた神社
- 改善センター(歴史民俗資料室) — 稲作の古い機具が並び、町と米の長い歴史がわかる
- つつみ会館 — 目の前の堤防を上がると、雄大な利根川が広がる
- かわち夢楽 — 産業観光交流拠点施設(当日はリニューアル工事中)
参加者の言葉が、この日の価値を言い切っています。
現地をめぐり、直接お話しを聞くことで、紙面や画面上ではわからない「町の雰囲気」や「町内の方の優しいお人柄」を感じることができました。
2|91×55mmに、町を入れる
役場から素敵な写真もたくさん提供いただき、「選び切れない!」という贅沢な悩みから制作が始まりました。ここが名刺デザインの本質的な難所です。
使える素材が多いほど、名刺は難しくなります。面積は増えないのに、載せたいものだけが増える。 だから最初にやるのは、聞いた魅力を箇条書きにして並べ、そこから捨てる作業になります。
コンセプトとモチーフを先に決める
ある参加者が設定したコンセプトは、「美しい風景と河内町に住む人々の温かみが感じられるデザイン」。そのうえで、絶対に入れるモチーフを3つに絞りました。

- 稲穂 — 米どころの河内町。秋には「稲平線(すいへいせん)」が広がる。町の推しポイント
- 水引 — 「人と人とのふれ合い」を大切にしている町。人を結びつけるという意味を持つ水引を取り入れた
- 蓮 — 名産のレンコン。道路脇にレンコンの水田もあった
レンコンの穴に、町の風景をはめた

裏面がこの案のいちばんの見どころです。蓮の葉と花、そしてレンコンの輪切りを配置し、レンコンの穴の中に、厳選した河内町の美しい風景写真をはめ込んでいます。
「選び切れない」ほどあった写真を、レンコンという町の名産の形を借りて複数枚まとめて成立させた。 写真を並べるのではなく、モチーフの中に収める。名刺という狭い面積で、素材の多さを弱点から強みに変えた解き方です。
色味は町章の青を軸に、受け取り手がほっとして、気持ちが明るく穏やかになるような優しい色合いを意識しています。「空と緑と金色のまち」というコピーを添えました。
プレゼンでの反応
プレゼンはオンラインでも参加できる体制でした。職員の方からのフィードバックは、狙ったところにまっすぐ返ってきています。
人と人との繋がりを大事にしているということをデザインに落とし込んでいただいた箇所が素敵です。
水引を選んだ理由が、そのまま伝わった。モチーフに理由があると、説明しなくても相手に届く。
3|優良技術者表彰のロゴ ─ 入学1ヶ月の2名がW採用

翌年、町の「令和5年度 優良技術者表彰」で使うロゴのコンペも実施しました。参加したのは、グラフィックデザインを学び始めてちょうど1ヶ月の受講生2名です。
参加のきっかけは、本人たちの言葉によればこうでした。
まだ始めたばかりだからこそ、実際に手を動かしてデザインツールの使い方をマスターしたい/周りからの後押しもあり、自分に自信をつけるチャンスだと思った
A案:月桂樹の冠を、稲に置き換える

表彰のロゴといえば月桂樹の冠です。この案は、その月桂樹の部分を、河内町の特産品である稲に見立てています。よくある形をそのまま使わず、町の固有名詞に置き換える。
あわせて、①表彰された人が自信を持てるデザインにする ②第三者から見ても優れていると一目でわかるようにする、という2つの狙いから「優良」の2文字を大きく組みました。「優良」以外の文字は明朝体にして、全体の雰囲気を引き締めています。町章カラーを使い、河内町のものだと分かるようにしました。
B案:「秀」の一文字にする

もう1案は、まったく別の方向でした。「秀」という漢字の象形文字を、さらに崩した文字で表現した一文字ロゴです。
本人の説明によれば、「秀」には他よりも優れているという意味があり、今回の賞にふさわしい漢字だと考えて選んだとのこと。名誉ある賞であることを、一文字で表すための選択です。
色は稲穂の黄から水の青へ抜けるグラデーション。黄色の下地に白抜きで置くことで、賞状に貼っても、表彰式のパネルに使っても成立する強さを持たせています。
結果:2名とも採用

2名ともが採用されました。授賞式では町の担当者様に直接プレゼンし、デザインの制作意図を説明する機会をいただいています。町からいただいたコメントはこうでした。
他ではなかなか見られない素敵なデザインなので、今後イメージアップに繋げていきたい。
2人とも、手描きのラフを何枚も出してから作り込む進め方をしていました。ツールの操作に慣れていないことは、発想の妨げにならない。 むしろ、ツールで作り込めないぶん、紙の上で考える時間が長くなります。「なぜそのデザインにしたか」を説明するコンセプトシートまで作り込んだのも、この2名でした。
手書きのラフデザインをいくつか制作し、そこから自分なりに河内町らしいイメージを膨らます工程が楽しかったです。(採用者コメント)
4|そして年間の伴走へ
この名刺コンペに在学中に参加した卒業生が、その後、役場で使うテーブルクロスとロールアップバナーの制作を担当しています。コンペで町を知った人が、次の仕事を担う。 地域と続けて関わることの意味がここに出ています。
この案件のまとめ
| 名刺コンテスト | 2023年秋。現地ヒアリング会+町内ツアー(スタッフ含め約30名)→ 制作 → プレゼン(オンライン参加可) |
|---|---|
| 表彰ロゴ | 2024年。入学1ヶ月の受講生2名が参加し、2名ともW採用。授賞式でプレゼン |
| その後 | 包括連携協定の締結 → テーブルクロス・ロールアップバナー → 年間の広報伴走へ |
関連リンク
- ヒアリング会&現地ツアーの参加者レポート
- 名刺デザインの制作レポート
- 表彰ロゴのコンペ レポート
- 茨城県河内町様|観光冊子と年間の広報伴走
- 4市合同の名刺デザインコンテスト(鹿行水郷)
- 茨城県河内町からデザイン・動画を学ぶ
このページについて:制作過程と本人のコメントは、参加した受講生・卒業生のレポートによります。契約条件・費用は掲載していません。
参考:https://school.dhw.co.jp/school/chiba/blog/eventreport_20231214.html
