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茨城県神栖市様・鹿嶋市様・潮来市様/千葉県香取市様|4市合同の名刺デザインコンテスト
デジタルハリウッドSTUDIO鹿島の開校記念として実施した「地域を彩る、名刺デザインコンテスト in鹿行水郷」です。茨城県神栖市様・鹿嶋市様・潮来市様と、千葉県香取市様の4市が同時に参加する、当校としても最大規模のコンペでした。
ここでは、実際に参加した卒業生の制作過程を追う形で、ヒアリングから提出、プレゼンテーションまでを書いています。
1|ヒアリング会 ─ 4市の要望を、同じ日に聞く
コンペはヒアリング会から始まりました。神栖市様・鹿嶋市様・潮来市様・香取市様それぞれが、要望をスライドにまとめて説明してくださる形式です。
ここが、この案件の一番の学びどころでした。市によって、課題としていることもアピールしたいポイントもまったく違う。
同じ「自治体職員の名刺」でも、観光を前に出したい市、産業を出したい市、住みやすさを伝えたい市がある。4市を同じ日に聞くことで、「自治体の名刺」という一般解が存在しないことが、参加者全員にはっきり伝わりました。1市だけを担当していたら、たぶん気づけません。
2|「感動名刺」のライブ授業

制作に入る前に、講師による名刺デザインのライブ授業を挟みました。テーマは「感動名刺」。
内容は作り方だけではありません。名刺をもらったときの印象の話、デザイン以外の部分の話まで含めた回でした。参加した卒業生の言葉が的確です。
名刺を渡した方と名刺の印象で、これからどんな関わり方になるのかが変わるんだな、と感じました。
名刺は「連絡先が書いてある紙」ではなく、その後の関係の第一手である。この前提が共有された状態で制作に入れたのが、全体の質を押し上げました。
3|制作 ─ 香取市様のコンセプトは「和」
ここからは、香取市様を選んだ参加者の制作過程です。まず要望を振り返り、自分なりのデザインポイントを3つに決めています。
- レイアウトが変えられること
- 名刺を渡したときに「おっ」と思ってもらえること
- 特産物のアピール
そのうえで、コンセプトを「和」に定めました。江戸時代から続く佐原のまちの風景と雰囲気から取ったものです。取り込むモチーフはこの3つ。
- 市の花「あやめ」
- 利根川をイメージした波線
- 特産のさつまいもとマッシュルーム
表面:読みやすさに全振りする
先に表面(名前の面)から作っています。誰が見てもわかるレイアウトと色使いにして、親しみやすさを出す。書体は雑誌などの読み物でよく使われる筑紫Aオールド明朝を選びました。装飾のための書体ではなく、読みやすさで選んだ書体です。
裏面:横から縦へ、レイアウトを組み替える
裏面は、香取市様の名所やイベントの写真を使う構成にしました。ところが、ここで行き詰まります。
最初に考えていたレイアウトで作ると、文字と写真の位置がしっくりこない。 掲載する写真の枚数を変えてみても、まだしっくりこない。
校舎で制作していたのでトレーナーに相談したところ、返ってきたのが「横のレイアウトから縦のレイアウトにしてみては?」という一言でした。組み替えたところ、収まった。最初の横レイアウトより良くなっています。
迷ったときに変えるべきなのは、要素の量ではなく、置き方の軸である。 写真を1枚減らす前に、紙の向きを疑う。名刺のように面積が決まっている媒体では、これがとくに効きます。
4|★ QRコードが、Androidで読めなかった
第1回のデザイン案が完成し、印刷して最終確認をしていたときに想定外の問題が起きました。
裏面の色味に合わせてQRコードの色を変更したところ、iPhoneでは読み取れるのに、Androidでは認識されない。
デザイン上、QRコードを黒にはしたくない。しかし読み取れないのは論外です。トレーナーとスタッフで試行錯誤した結果、QRコードの背景に白を敷くことで、iPhone・Androidの両方で認識されるようになりました。
色がついているからOKと思っていたQRコードでしたが、色によって、機種によって認識しづらいことを今回知ることができました。デザイン以外にも、URLにちゃんと飛べるかなど、確認することが必要ですね。
これは、画面の中では絶対に発見できない不具合です。印刷して、複数の実機で読み取ってはじめて分かる。名刺は渡した相手が必ずスマートフォンで読み取る媒体なので、ここが通らなければ名刺の役目を果たしません。
5|講評とブラッシュアップ

第1回のデザイン案を提出すると、トレーナーから講評が入ります。この回の指摘は装飾部分の位置の修正でした。細部まで見てもらえたことが、本人の言葉としても残っています。
講評をもとにブラッシュアップし、最終提出の案を制作しました。
納品仕様:組み合わせで運用できる形にした

最終案は、1案ではなく組み合わせとして設計しています。
- 表面 2種類(縦組み・横組み)
- 裏面 3色パターン
- 写真もカスタマイズ可能
最初に立てたデザインポイントの1つ目、「レイアウトが変えられること」がここに効いています。自治体の名刺は、部署も役職も職員数も幅があります。1案を全員に配るより、選べる幅を設計して渡すほうが、実際に使われる。
6|クライアントの前でプレゼンする

第1回の提出後、講評の知らせとともに開校イベントでのプレゼン発表者に選ばれたという連絡が届きます。
しかも当日は、市役所の担当者の方が客席にいる前で直接プレゼンする形式でした。本人にとっては、クライアントの前でのプレゼンは初めて。
人前で話すことはとても苦手ですが、「在学中にプレゼンの経験ができるのはとても貴重だ!」と気合いをいれて準備を進めました。
当日は、発表者どうしで雑談しながら順番を待ち、みな「緊張する」と言いながら、いざ登壇すると緊張を感じさせないプレゼンをしていた。それぞれのデザインにどんな想いが込められているかが、その場で全部聞ける。 発表する側であると同時に、聞く側としての学びが大きい場になりました。
プレゼン時間が限られていたため、デザインのポイントを絞って話す形にしています。
7|コンペに参加するということ

この参加者は、入学以降、バナー・名刺・Webサイト・Tシャツ・看板と、いくつものコンペに参加してきた人です。その振り返りが、この案件のいちばんの成果かもしれません。
入学したばかりの頃は、自分が作った物を人に見られて、しかも評価までされる状況が怖くてたまらなかったです。でも、在学中だからこそ色々な人に見られて、評価されることが大事だと思い、毎回震えながら参加しました。
選ばれなかったとしてもそこで終わりではなく、他の方の良かったところを次回の参考にすればいい。他の方のデザインを見ることで、自分では考えもつかなかったアイデアを見つけることもできます。
コンペの本当の価値は、採用されるかどうかではありません。同じヒアリングから何通りの答えが出るのかを、その場で全部見られること。 そして、それぞれの作り手が「なぜそうしたか」を自分の言葉で説明するのを聞けること。動画教材では絶対に得られない部分です。
この案件のまとめ
| 実施 | デジタルハリウッドSTUDIO鹿島 開校記念コンペ(2023年) |
|---|---|
| 対象 | 茨城県神栖市様・鹿嶋市様・潮来市様/千葉県香取市様の4市 |
| 流れ | ヒアリング会 → 名刺デザインのライブ授業 → 第1回提出 → 講評 → 最終提出 → 開校イベントでプレゼン |
| 納品仕様(香取市案) | 表面2種(縦・横)× 裏面3色 + 写真差し替え可 |
| 参加 | STUDIO千葉の受講生・卒業生。入学時期を問わず参加可 |
関連リンク
このページについて:制作過程と本人のコメントは、参加した卒業生のレポートによります。個々のデザイン案の採用状況は各市の運用によります。契約条件・費用は掲載していません。
参考:https://school.dhw.co.jp/school/chiba/blog/kasima_interview_1.html
